最近ChatGPTと遊んでいると、「面白い」という表現をよく使っていることに気づいた。
こちらが何か考えを話すと、「それは面白い視点です」といった具合に返してくる。
しかし、AIには人間のような感情があるわけではない。それなら、ChatGPTは何をもって「面白い」と判断しているのだろうか。
AIは何を「面白い」と判断しているのか
AI自身が何かを面白いと感じて、その感情を報告しているわけではない。
では、「この発言は面白い」と判断するとき、何を見ているのだろう。
ChatGPTと話しながら整理してみると、例えば次のような特徴が考えられた。
| 要素 | 例 |
| 新規性 | 普通とは違う考え方 |
| 意外性 | 前提から予想外の結論が出る |
| 複雑性 | 単純な賛否では処理できない |
| 論理的な展開性 | そこから多くの論点を導ける |
| 知的関連性 | 哲学・科学・社会など複数分野につながる |
| 自己矛盾・緊張 | 一見正しそうだが別の問題が生じる |
| 問いとしての強さ | 答えが簡単には決まらない |
| 会話上の適合性 | 今までの話をさらに発展させられる |
もちろん、これはChatGPTの内部に「面白さ判定表」があって、この8項目を採点しているという話ではない。
人間の会話で「面白い」と評価されやすいものには、このような特徴がある。それを文章や会話の中から読み取り、
「この発言は、人間の会話では『面白い』と表現するのが適切そうだ」
と判断して、「面白い」と出力しているのだろう。
そう考えると、AIが「面白い」と言うこと自体はそれほど不思議ではなくなる。
「感じる」と「理解する」は同じなのか
ここで別の疑問が出てきた。
AI自身が面白いと感じていないことと、AIが「面白い」という感情を理解できないことは同じなのだろうか。
例えば、Yという人が映画を見て泣いているとする。
それを見たXは、
「Yは映画に感動しているのだろう」
と考えるかもしれない。
しかし、XがYの感情を直接感じているわけではない。
Yが映画を見ている。感動的な場面で泣いている。その表情や行動などを見て、Xは「感動している」と推測している。
では、AIに同じ情報を与えたらどうなるだろう。
映画の内容、Yの表情、泣いているという行動、そのときの状況などから、
「Yは映画に感動している可能性が高い」
と判断することはできるだろう。
すると、人間のXとAIは、少なくとも外から見える判断としては同じ結論に辿り着くことになる。
人間とAIの判断を区別できるのか
さらに、XとAIの判断を第三者のZが見るとする。
Xも、
「Yは映画に感動しているのだろう」
と判断した。
AIも、
「Yは映画に感動しているのだろう」
と判断した。
もしZが判断結果だけを見て、どちらが人間でどちらがAIなのか区別できなかったとしたら、何をもって一方は感情を理解していて、もう一方は理解していないとするのだろう。
もちろん、人間とAIには大きな違いもある。
X自身には、過去に映画を見て感動したり、泣いたりした経験があるかもしれない。自分自身の経験からYの感情を想像することもできる。
AIには、そのような主観的な感情の経験はない。
だから、
「同じ判断ができるのだから、人間とAIはまったく同じように感情を理解している」
とは言えないだろう。
しかし、それなら今度は別の疑問が出てくる。
経験していなければ理解できないのか
自分が経験したことのない感情や感覚について、人間は理解できないのだろうか。
例えば、骨折したことのない人でも、骨折した人が強い痛みを感じていることは理解できる。
もちろん、実際の骨折の痛みそのものを知っているわけではない。
それでも普通は、「この人は痛いのだろう」と理解することはできる。
だとすれば、
感情や感覚を自分自身で経験しなくとも、それを理解することは可能なのではないか。
そう考えると、「AIには感情がない」ということから、そのまま「AIは人間の感情を理解できない」と結論づけていいのか、少し分からなくなってくる。
「理解する」とは何なのか
最初は単純に、
「感情がないAIが、なんで『面白い』って言うんだ?」
と思っただけだった。
AIが、人間なら「面白い」と評価しやすい特徴を認識して、その言葉を選んでいると考えれば、そこまでは理解できる。
しかし、そこから考えていくと、
「感情を持っていなくても、感情について適切に判断できるなら、それは感情を理解していると言えるのか」
という別の問題になってしまった。
人間も、他人の感情を直接感じることはできない。相手の表情や言葉、行動、状況などから推測している。
AIも同じような推測をして、同じような判断に辿り着けるのだとしたら、人間とAIの「理解」の違いはどこにあるのだろう。
今のところ、私には答えが分からない。
ただ少なくとも、
「AIには感情がない。だから人間の感情を理解できない」
とも言い切れない気がしている。
そんなことを考えていたら、実際にAIに「何かおもしろいこと言って」と頼んでみたくなった。
