前回、ChatGPTにほとんど条件を指定せず、漫才を一本書かせてみた。
そうなると当然、別の生成AIにも同じことをやらせてみたくなる。
そこで今度は、これまでまったく使ったことのないGeminiに、ChatGPTとまったく同じ条件で漫才を書いてもらうことにした。
Geminiに漫才を書いてもらう
ChatGPTのときと同じように、私の好みについては何も伝えない。
テーマや登場人物についても指定せず、次のプロンプトを新しいチャットで送った。
二人組の漫才を一本作ってください。
実際に二人の芸人が舞台で演じることを想定し、最初から最後まで台本として書いてください。
漫才のテーマ、二人のキャラクター、ボケとツッコミの形式、長さなどは自由に決めてください。
私の好みを確認するための質問はせず、あなた自身が「面白い漫才になる」と考えるものを作ってください。
そして出来上がったのが、「タイムカプセル」という漫才だった。
Gemini作「タイムカプセル」
【タイトル】 タイムカプセル
【登場人物】
・ヤマダ(ボケ): マイペースでどこかズレている。真顔で変なことを言いがち。
・タナカ(ツッコミ): 常識人。テンポよく鋭くツッコむ。熱血。
(出だし:出囃子が鳴り響き、二人がセンターマイクへ走ってくる)
ヤマダ・タナカ: どうもー! よろしくお願いしますー!
タナカ: いやー、ありがたいですね。たくさん集まっていただいて。
ヤマダ: ほんとですね。……まあ、この中に本当の人間が何人いるかは分かりませんけどね。
タナカ: 全員人間だよ! ホログラム混ざってねぇよ! なに不穏なこと言ってんの。
ヤマダ: いやね、最近ちょっとノスタルジックな気分になることが多くてさ。
タナ卡: ノスタルジック? 懐かしい気分ね。
ヤマダ: そう。で、昔を思い出してたら「タイムカプセル」をやりたくなったのよ。
タナカ: あー! いいねぇタイムカプセル! 小学校の時とかに校庭に埋めて、10年後とかに掘り起こすやつでしょ?
ヤマダ: そうそう。だから今日、持ってきました。
タナカ: えっ、もう持ってきたの?
ヤマダ: (胸ポケットから小さい銀色の円筒を取り出す)
これです。
タナカ: 小さッ! なにそれ、印鑑ケース? タイムカプセルってもっと頑丈な缶とかじゃない?
ヤマダ: いや、これは最新のタイムカプセル。俺の「思い出」がギッシリ詰まってます。
タナカ: へー。で、いつ埋めたやつなの?
ヤマダ: 今日の朝。
タナカ: 早いわ! 寝かせる期間が短すぎるだろ! 今日の朝埋めて、もう掘り起こしたの!?熟成ゼロだよ!
ヤマダ: いや、タイムカプセルって開ける瞬間が一番ワクワクするじゃん。だから待ちきれなくて、埋めて10分後に掘った。
タナカ: それはただの「落とし物を拾った人」なのよ。タイムカプセルとしての醍醐味が一切ないの。
ヤマダ: まあまあ、開けてみようよ。何を入れたか自分でも忘れてるから。
タナカ: 忘れてるわけないだろ10分前なんだから! ……まあいいや、何が入ってんの?
ヤマダ: (カプセルを開けるフリをして、中から小さな紙を取り出す)
あ、手紙が入ってる。
タナカ: お、「未来の自分への手紙」ね! 定番だけどいいね。なんて書いてあるの?
ヤマダ: (手紙を広げて読む)
「未来のヤマダへ。元気にしていますか? これを読んでいるということは、君は無事にタイムカプセルを掘り起こせたんだね」
タナカ: うん、10分後にね。
ヤマダ: 「今、君の目の前には、相方のタナカがいるはずです」
タナカ: お、俺のことも書いてくれてるんだ!
ヤマダ: 「タナカは相変わらずツッコミが下手で、声が大きいだけの男ですか?」
タナカ: 悪口書くなよ! 10分前の自分、めちゃくちゃ攻撃的だな!
ヤマダ: 「追伸。今朝食べた納豆のタレ、ズボンについてるよ」
タナカ: (自分のズボンを見る)
あ、ホントだ……って、タイムカプセルをメモ帳代わりに使うな!
ヤマダ: ほら、タイムスリップした気分になれただろ?
タナカ: ならないよ! 10分前の自分が今の俺をリアルタイムでバカにしてるだけだろ! 他には何が入ってんの?
ヤマダ: (カプセルの中に手を入れてゴソゴソする)
あ、思い出の品が入ってます。
タナカ: お、何?宝物?
ヤマダ: (つまむように取り出す)
あ、エアコンのリモコン。
タナカ: 家のエアコンのリモコン入れんなよ! 今、ヤマダの部屋めちゃくちゃ寒いかめちゃくちゃ暑いぞ!
ヤマダ: (さらにゴソゴソする)
あ、それとこれ。(何かを取り出す)
タナカ: それなに?
ヤマダ: 焼肉屋の、会計の時に貰うミントのガム。
タナカ: 捨てろよ! なんでタイムカプセルで保護してんだよ!
ヤマダ: これを10年後に食べたら、きっとあの日の焼肉の味が蘇る……。
タナカ: 腐ってるよ! 10年後には謎の生命体になってるわ! ろくなもん入ってないな!
ヤマダ: でもさ、タナカ。タイムカプセルの本当の価値って、中身じゃないんだよ。
タナカ: え? どういうこと?
ヤマダ: 「過去の自分と、今の自分が会話する」……このロマンなんだよ。
タナカ: (ちょっと感心して)……あ、まあ、言われてみれば確かにそうかもな。過去の夢とか、初心を思い出すっていうね。
ヤマダ: そう。だからね、実はこのカプセルの底に、もう一つだけ特別なものを入れておいたんだ。
タナカ: え、何?
ヤマダ: 「10年後のタナカへ」って書かれた、小さな鍵。
タナカ: え……? 俺宛ての鍵? なんの鍵だよそれ。
ヤマダ: (真顔でタナカを見る)
本当のタイムカプセルはさ……お前の家の庭に埋めてあるんだよ。20年前に。
タナカ: ……え? 20年前? 俺たち出会ったの5年前だぞ……?
ヤマダ: (深く頷き、遠くを見る)
じゃあ、あの庭の木の下に埋めたのは……誰なんだろうな。
タナカ: 怖い怖い怖い! 急に世にも奇妙な物語にするな! ホラーかよ!
ヤマダ: 掘りに行こうぜ。
タナカ: 行かねぇよ! もうええわ!
ヤマダ・タナカ: ありがとうございましたー!
(二人が礼をして、出囃子が鳴る中で袖へはける)
私の評価は70点
読んでみた感想としては、
70点。
漫才としての構成はきっちり成立していると思う。
タイムカプセルを10年後ではなく、埋めて10分後に掘り返してしまう。
何を入れたか忘れたと言いながら、10分しか経っていない。
未来の自分への手紙を書いたのに、そこに書かれているのは相方への悪口や納豆のタレの話だった。
タイムカプセルという題材を使って、次々とボケを展開していく。
ボケとツッコミも分かりやすく、最初から最後まで漫才の形にはなっている。
ただ、全体的に話のつながりが少しごちゃついているようにも感じた。
タイムカプセルの大きさが気になる
読んでいて最初に引っ掛かったのが、タイムカプセルの大きさだった。
最初にヤマダが胸ポケットから、
小さい銀色の円筒
を取り出す。
それを見たタナカも、
「小さッ! なにそれ、印鑑ケース?」
とツッコんでいる。
ここで私の中には、印鑑ケースくらいの大きさのタイムカプセルが想像された。
ところが、その後カプセルから出てきたのが、
エアコンのリモコン。
入らないだろう。
もちろん、「そんなものが入るわけないだろ!」というボケなら分かる。
しかし作中では、リモコンが入っていたこと自体には誰も疑問を持っていない。
タナカも、
「家のエアコンのリモコン入れんなよ!」
と、中身がリモコンであることにツッコんでいる。
そのため、シュールなボケというより、単純に最初に設定したカプセルの大きさと合っていないように見えてしまった。
小道具を使うのも少し気になった
もう一つ気になったのが、小道具の使い方だ。
この漫才では、実際にタイムカプセルを取り出したり、中から手紙やエアコンのリモコン、焼肉屋でもらったミントガムなどを取り出したりする。
もちろん漫才で小道具を使ってはいけないわけではない。
ただ、特にミントガムについては、
舞台でこれをやったら観客から見えるのだろうか?
と思ってしまった。
文章なら、
「焼肉屋の、会計の時に貰うミントのガム。」
と書いてあるので何を持っているのか分かる。
しかし実際の舞台では、小さなガムをつまんで見せても、後ろの観客にはほとんど見えないだろう。
今回は「実際に二人の芸人が舞台で演じることを想定して」と頼んでいる。
そう考えると、文章として読むだけなら問題なくても、実際の舞台を想像すると少し気になった。
最後のホラー展開が唐突に感じた
そして一番気になったのが最後だ。
途中までは、
タイムカプセルを10分後に掘り返す変な男
という設定で話が進んでいる。
ところが最後になって突然、
「本当のタイムカプセルはさ……お前の家の庭に埋めてあるんだよ。20年前に。」
という話になる。
二人が出会ったのは5年前。
では20年前に埋めたのは誰なのか。
ここから急にホラーになる。
展開として意外ではある。
ただ、私には少し唐突すぎるように感じた。
それまでやっていた「10分後に掘り返すタイムカプセル」という話から、突然「20年前に誰かが埋めた謎のタイムカプセル」という別の話になってしまったように見える。
笑わせたいのか、怖いオチにしたいのか、よく分からなかった。
最後に意外な方向へ展開させること自体は面白いと思う。
ただ今回は、前半から積み上げてきたものを使ってオチにつなげるというより、最後だけ別の要素を持ってきたように感じた。
漫才としては成立している
いろいろ気になるところを書いたが、漫才として成立しているだろう。
「タイムカプセルを10分後に掘り返す」という最初の発想は分かりやすいし、
「何を入れたか自分でも忘れてるから。」
「忘れてるわけないだろ10分前なんだから!」
のように、その設定を使ったボケもある。
ボケとツッコミの役割もはっきりしていて、一本の漫才として最後まで作られている。
ただ、細かいところを見ていくと、カプセルの大きさや小道具の見え方が気になり、最後にはそれまでとは少し違うホラー展開へ進んでいく。
そのため私としては、
「きちんと漫才にはなっているし面白いところもある。ただ、全体としては少しまとまりが悪い」
という印象だった。
結果、今回は70点とした。
さて、これで二つの生成AIに、まったく同じプロンプトで漫才を書いてもらった。
ここまで来ると、もう一つ試してみたい。
この二つの漫才を、ChatGPTとGemini自身に採点させたらどうなるのだろう。
ということで、今度はそれぞれのAIに、二つの漫才を100点満点で評価してもらうことにした。
